近年、空き家の増加が社会的な課題となっています。特に賃貸経営に携わる大家さんにとって、空き家を「放置するか、整備して次につなげるか」で資産価値に大きな差が生まれます。
1. 空き家を放置するリスク
長期間の放置は、ホコリやカビの発生、設備の劣化を加速させるだけでなく、害虫・小動物の侵入や近隣からの苦情につながることもあります。外観が荒れると「管理されていない物件」と見なされ、地域での評価が下がり、賃貸募集や売却時に不利になるケースも少なくありません。
2. 掃除・管理で意識したいポイント
空き家を「資産」として維持するためには、定期的な掃除と点検が欠かせません。特に以下の作業が効果的です。
• 換気:月1回は窓を開け、湿気を逃すことでカビ防止。サーキュレーターで空気を循環させると効果的。
• 水まわり:排水トラップの封水が蒸発すると臭気・害虫の原因に。コップ1杯の水を流して封水を維持。
• 床・畳:畳はカビが出やすいため、除湿剤や新聞紙を敷くのも有効。フローリングは乾拭き後にワックスを塗布すれば劣化防止。
• 窓・ガラス:曇りを落とすだけで、室内の印象が一気に明るくなり、内見時の好感度アップ。
• 外回り:庭木の剪定や落ち葉掃除を怠ると、害虫発生や近隣からの苦情に直結。
3. 専門業者に任せた場合の費用感
「掃除に時間が取れない」「離れた場所の物件で通えない」といった場合には、専門業者へ依頼するのが現実的です。一般的な費用相場は以下の通りです。
• 空き家全体のハウスクリーニング(2LDK〜3LDK):3万〜8万円程度
• 庭の草刈り・剪定:1万円〜5万円程度(敷地の広さや樹木の本数による)
• 不用品処分・片付け:軽トラック1台分で1万5千〜3万円程度
• 定期管理プラン(月1回巡回・清掃・換気など):1万〜3万円程度/月
規模や状態によって費用は前後しますが、早めの手入れが長期的には安上がりになるのがポイントです。放置して劣化が進んでから修繕・清掃するよりも、定期的な管理をしておく方が結果的に費用を抑えられます。
4. 掃除は「再活用」への投資
定期的に清掃・メンテナンスを行うことで、空き家は再び入居者を迎え入れる準備が整います。クリーニング済みの物件は募集時の反響も良く、賃料の下落を防ぐ効果も期待できます。
また、空き家バンク制度やリノベーション活用など、掃除を起点にした再活用の道も広がっています。
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まとめ
空き家掃除は「コスト」ではなく「資産を守るための投資」です。
大家さん自身で定期的に点検するのも良いですが、専門業者に依頼すれば効率的かつ確実に作業が完了し、劣化の早期発見にもつながります。
空き家を清潔に保つことは、入居者にとって安心できる暮らしを提供する第一歩。結果として、大家さんご自身の資産価値を守り、地域の信頼も高めることにつながります。